黄金のアフガニスタン

2016年2月26日,配達された新聞を見てこの記事を見つけた。
特に目立つ見出しではなかったが,よく気付いたものだ。
この日経の記事では,何時金庫が開かれた時期については触れていない。
本記事によると,カブール国立博物館の重要な収蔵品の避難が決定されたのが,1989年。
本記事の見出しによると,金庫が開かれたのが14年後とのこと。換言すれば,この金庫は2003年に開かれたことになる。
これをバックアップする記事が,The New York Times より見つかった。The New York Timesによると,この金庫が開けられたのは2003年8月と報道されている。
このような基本的な情報は日経にも載せて欲しかった。
話しが戻りますが,日経の記事にはこれらの守り抜かれた秘宝を東京国立博物館の特別展「黄金のアフガニスタン」において展示するとのこと。特別展の期間は(4月12日〜6月19日)であり,是非これらの秘宝を自分の目で見たいと機会を窺っていた。

 

5月25日,平日でもあり,また蒸し暑いので訪問者も多くないだろうとの期待を込めて東京国立博物館へ行くことにした。伊勢島サミットの前日でもあり厳しい安全チェックも予想されたが,期待に反して多くの訪問者があった。そのため,内部ではゆっくりと観察をするという環境ではなかった。どちらかと言えば,落ち着いて観察している方々の肩越しに見るケースが多かった。
出品されている秘宝は前もってネットにてチェックしていたので,肩越しの観察でも不満はなかったが,救われたのは会場出口において,「黄金のアフガニスタン」を入手出来たことである。これらの資料を入り口で購入できれば,もう少し記憶に残る観察が出来たように思うのだが。。。

東京国立博物館 表慶館 東京国立博物館 表慶館 

 

アフガニスタンの宝物が米国ツアーに

 

2007年12月21日(The New York Times)
カブールにあるアフガニスタン国立博物館の所蔵する約200点の作品の巡回展覧会が、5月にワシントンのナショナルギャラリーを皮切りに始まり、米国内を17カ月にわたり巡回する。
この展覧会はナショナルギャラリーがナショナルジオグラフィックソサエティと共催し、アフガニスタンの4000年の文化遺産をカバーする品々が含まれている。そのなかには、紀元1世紀にさかのぼる、バクトリアの宝物に属する選りすぐりの黄金細工もある。ナショナルギャラリーでの展覧会は5月25日から9月7日まで行われる。
バクトリアの宝物には、ブレスレット、剣、小像、王冠、ベルトその他の品々が含まれる。これらは1978年に北部アフガニスタンのTillya Tepeの遺跡で考古学者が発掘した。この遺跡では古代バクトリア王朝の墓が6基発見された。
翌年ソビエト軍がアフガニスタンに侵攻した後、これらの宝物は姿を消した。そして、その後の長期の内戦中に盗まれるか破壊されたと考えられていた。ところが、2003年8月になって、カブールの大統領宮殿の金庫の中で発見されたと発表された。(2016-02-26-日経記事参照)
「アフガニスタンがシルクロードの中央に位置していたために、そこにはいろいろな文化と文明のモザイクが作り出されました。」と駐米アフガニスタン大使であるTayeb Jawadは語った。
バクトリアの宝物が展覧会の目玉となるので、展覧会は「この遺産を保存することに関わった個人たちの物語を語ることになるでしょう。」と彼は語った。その中には、発掘された品を検証し目録を作成したアフガニスタン人の考古学者たちがいる。
この米国巡回展はFredrik T. Hiebertが企画した。彼はアフガニスタン国立博物館のCarla Grissmannとともにこの展覧会を組織した。
バクトリアの宝物に加え、展覧会には他の3か所の考古学遺跡からの品が含まれる。アフガニスタン北部のTepe Fullolから発掘された紀元前2500年から2200年の間の黄金のつぼの破片、ギリシア人植民地のブロンズ、象牙、石で作られた彫像の数々がAi Khanumで発掘された。そしてカブールの北25マイルに位置する、昔はKushan帝国(紀元1世紀から3世紀)の夏の中心地で、いまは米空軍基地となっているバグラムから出土した象牙の浮彫やその他の品である。
ナショナルジオグラフィックはアフガニスタン政府との間に、これらの品を米国に持ってくる契約を100万ドルで6月に交わした。アフガニスタンの貧しさと、数十年間の暴力と混乱によって文化遺産に

 

なされた損害を考慮すると、アフガニスタンは損をしたのではないかという文化専門家もいる。しかし、Jawad氏は「最初から、お金は重要な要素ではありませんでした。」と語った。
展覧会の主催者側は、保険、運搬費用、その他の費用を負担することになっている。
ナショナルジオグラフィックソサエティのミッションプログラム担当EVPであるTerry D. Garciaはこう語った。「この金額はアフガニスタン政府が交渉したもので100万ドルは小さな額ではありません。そしてこれは商業的な展覧会ではないのです。」
この展覧会はパリのギメ美術館、イタリアのトリノにあるMuseo di Antichitaを巡回し、現在はアムステルダムのNieuwe Kerkにて4月20日まで公開中である。サンフランシスコのアジア美術館、ヒューストンのファインアート美術館、そしてニューヨークのメトロポリタン美術館に巡回する計画を策定中である。

 

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